【これを読めば7割方わかる!】犬と猫の腫瘍について

犬との暮らし

こんにちは、たまです!

今回は「犬と猫の腫瘍」について解説します。

この記事は

  • 「腫瘍」「がん」などの用語がよくわからない方
  • 犬と猫の腫瘍の治療に興味がある方
  • 飼っている犬猫の腫瘍治療に悩んでいる方
  • 犬と猫に多い腫瘍を知りたい方

におすすめです。

犬と猫の寿命が延びるにつれて、犬と猫の腫瘍に悩まされる飼い主の方が増えています。

腫瘍の治療法に悩むのはもちろんですが、腫瘍関連の用語は複雑で、飼い主の方が情報を仕入れるハードルが高く、それも飼い主の方を悩ませる原因です。

たま
たま

今回はできるだけわかりやすく犬と猫の腫瘍について解説したので、ぜひ参考にしていただけると幸いです。

そもそも腫瘍ってなに?

そもそも腫瘍(がん)とはなにかご存じでしょうか?

腫瘍を理解するには正常な細胞の動きを理解する必要があります

正常な細胞には以下の特性があります。

  • 2分裂で細胞が増える(細胞の数は1,2,4,8…と増えていく)
  • ある程度増えたら、増殖がストップする
  • 増える場所は決まっている(例:皮膚の細胞は筋肉で増殖しない)
  • エネルギー源を1取り込んだら、30倍くらいに増やして活用する

腫瘍ではこのような特性がなくなってしまいます。

例えば、腫瘍をつくる腫瘍細胞は、ある程度増えたら自分で増殖をストップする機能が失われています。

なので正常とはかけ離れた大きさにまで成長し、皆さんが見てわかるような大きさの「できもの」が形成されます。

簡単に腫瘍とはなにかをまとめると「異常な細胞(腫瘍細胞)が、異常に増殖したもの」となります。

たま
たま

みなさん腫瘍とは何か知っていましたか?

腫瘍関連の用語

腫瘍に関連する用語には色々なものがあります。

「腫瘍」「がん」「癌」といった用語を正確に説明できるでしょうか。

一緒に見ていきましょう!

腫瘍とがん

実は「腫瘍」とひらがなの「がん」は同じ意味の言葉です

本来「がん」は後で説明するように上皮系の悪性腫瘍を指す言葉ですが、現在では一般的に使われる言葉のため、腫瘍と同じ意味を持つようになりました。

そして「腫瘍」及び「がん」を細胞の形でさらにに分類します。

たま
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学生時代に「腫瘍」と「がん」は同じと聞かされた時はびっくりしました。

良性腫瘍(良性のがん)

腫瘍の細胞が悪性の見た目をしていない腫瘍を良性腫瘍と言います

基本的に、良性の腫瘍は大きくなり邪魔になることはあっても、他の組織に浸潤したり転移することはありません。

なので手術で取り除くことで完治が見込めます。

またそのままにしておいても特に問題とならないことが多いです。

悪性の上皮系腫瘍(癌)

悪性の上皮系の腫瘍を本来の意味の「がん」及び「癌」と言います

悪性とは言葉通り「体に悪影響がある」という意味ですが、上皮系とは何でしょうか。

体の細胞は見た目で、「上皮系細胞」「間葉系細胞」「独立円形細胞」の3種類に分けることができます。

上皮系細胞は簡単に言えば皮膚、少し難しいものでは臓器の一番外側の膜を作るような細胞の事です。

ちなみに良性の上皮系腫瘍はただの「良性の腫瘍」または「~腫」と言います。

悪性の上皮系以外の腫瘍(肉腫)

上皮系細胞以外の細胞が腫瘍化し、悪性となったものを「肉腫」と呼びます

実際にはほとんどの場合「間葉系細胞」が悪性腫瘍となったものを肉腫と呼び、「独立円形細胞」が悪性腫瘍となったものを肉腫と呼ぶことは少ないです。

(独立円形細胞が腫瘍となった場合には、「リンパ腫」「白血病」などの名前がつきます)

間葉系の細胞は上皮系細胞と独立円形細胞以外のすべての細胞の事を指しますが、わかりやすく言うと「筋肉の細胞」や「脂肪細胞」などの事です。

表にまとめるとこんな感じです

   良性      悪性   
上皮系細胞良性腫瘍、~腫~癌
上皮系以外の細胞良性腫瘍、~腫~肉腫
たま
たま

みなさん整理できましたか?

腫瘍のなにが問題なのか

そもそも腫瘍はなぜ体に悪いのでしょうか

もちろん物理的に何かの邪魔をしている場合もあります。

例えば胃の出口を腫瘍がふさいでいる場合などがそうです。

それ以外には以下のような場合があります。

  • 腫瘍がなにかを産生している場合
  • 腫瘍がエネルギー源を消費している場合

では一緒に見ていきましょう!

腫瘍がなにかを産生している場合

通常時、体の中で色々なホルモンを作っている事は有名だと思いますが、実は腫瘍もホルモンをつくることがあります

正常な細胞がホルモンをつくるときには、「ネガティブフィードバック」というブレーキが働きます。

しかし、腫瘍細胞がホルモンをつくるときにはそのブレーキが利きません。

なので、腫瘍細胞がホルモンを産生している場合は体に色々な異常が起こります。

分かりやすいもので言うと、「インスリン」と呼ばれる血糖値を下げるホルモンを放出するような腫瘍ができた場合には、ひたすら血糖値が下がってしまい、「低血糖」になります。

たま
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インスリンを作る腫瘍はインスリノーマと言います。

腫瘍がエネルギー源を消費している場合

最初に書いたように、正常な細胞はエネルギー源が1あるとすると、そこから30くらいのエネルギーを得ることができます。

しかしながら腫瘍細胞は、エネルギー源1に対して6しかエネルギーを得ることができません。

したがって腫瘍細胞は約5倍のペースで体の中のエネルギー源を消費していきます。

これが「悪液質」と呼ばれる腫瘍の特徴です。

なので、イメージがあるかもしれませんが、がんの患者さんは痩せていくのです。

そして、体全体が完全にエネルギー不足になると、死に至ります。

たま
たま

エネルギーの作り方について知りたい人は、「解糖系」「電子伝達系」で検索してみてください。

犬と猫の腫瘍の診断

腫瘍はどのように診断するのでしょうか。

実は、「できものを腫瘍であると言い切ること」や「腫瘍を良性か悪性か判断する」方法は1つしかありません

それは病理診断というもので、腫瘍の一部を採取し、顕微鏡で観察することによって行います。

ただ顕微鏡で観察する部分は、病理診断を専門にしている人にやってもらわなければいけないため時間がかかります。

そこで動物病院では、できものに対してそれが腫瘍かどうかの予測を立てつつ、病理診断の結果を待ちます。

ではその予測の方法を見ていきましょう。

たま
たま

漫画「フラジャイル」に出てくるのが病理診断をしてくれる病理診断医です。

問診

腫瘍には様々な特性があり、問診を行うことでできものが悪いものなのかどうかある程度判断できます。

問診でわかる悪性の腫瘍の特徴は以下のようなものです(良性の腫瘍とそれ以外のできものを問診で判断するのは難しいことです)。

  • 最近できて急に大きくなっている
  • なんだか動物が痩せてきた
  • 元気がない、変な動きをするなどなにかしらの症状がある

特にできた時期とそれからどのくらい大きくなっているかは重要なポイントです

年単位で大きくなっているならまだいいのですが、数週間で急速に大きくなっている場合には悪性の腫瘍の可能性があります。

身体検査

触診や臭いである程度悪性かどうかの予測がつくこともあります。

身体検査で確認するのは以下のようなポイントです。

  • できている場所
  • 他の場所にもないかどうか
  • 固さや可動性
  • 壊死のにおいがしないか

上3つは過去の研究や経験から総合的に腫瘍かどうか、悪性かどうかを判断する際に重要なポイントです。

壊死のにおいを説明することは難しいですが、ひどい臭いであることは確かです。

腫瘍は正常な組織ではありえないスピードで大きくなることがあり、その場合には腫瘍の中心部が酸欠になって壊死を起こすので壊死のにおいがする場合があります。

たま
たま

壊死のにおいは独特ですが、何かが腐ったようなにおいがします。

細胞診

細胞診は非常に重要な検査です。

この検査は、できものに針を刺して取れたものを顕微鏡で観察することで、それが腫瘍かどうか、悪性かどうかを判断する検査です。

動物病院ですぐできる検査の中では最も正確な検査とも言えるでしょう。

ただ、病理診断と比較すると正確性に天と地ほどの差があり、「診断」ではなくあくまでも「予測」くらいの位置づけです。

たま
たま

細胞診のいいところは、結果がすぐにわかるという事です。

その他の検査

腫瘍の治療に力を入れている病院や、大学病院などの大きい病院では他にも色々な検査をすることで、予測の精度を高めています。

例えば、CT検査の際に「造影剤」と呼ばれるものを注射することで、血管の走行を確認できます。

その血管がどのように腫瘍に入るかによって、良性か悪性かを予測したりします。

犬と猫の腫瘍治療

いよいよ腫瘍の治療です。

治療法は大きく分けて3つに分かれ、単独か組み合わせて治療します。

  • 手術
  • 放射線療法
  • 化学療法

では1つ1つ解説します。

手術

手術に関してはご想像の通りで、「腫瘍を切って取り除く」ことによる治療です。

手術による治療のポイントは、「絶対に1回で、すべての腫瘍細胞を取り除く」ことです。

これに成功できれば、完治が望めます。

そのために、手術の時には腫瘍の周りの正常に見える組織ごと取り除き、病理診断によりすべての腫瘍を取り除くことができているかどうかを確認します。

たま
たま

腫瘍の回りには正常に見えても腫瘍細胞が散らばっていることが知られています。

基本的には腫瘍の回り3cmをくりぬくように手術をします。

放射線治療

放射線治療は手術の後に完治の可能性を高めるために行われたり、手術できない場所(脳内など)にできた腫瘍を治療するために単独で行われたりとバリュエーションに富みます。

放射線がなぜ腫瘍に効くのかを簡単に説明します。

まず放射線には細胞の遺伝子を破壊する性質があります。

もちろんこの性質は正常な細胞にも働くのですが、放射線の特性として、盛んに分裂している細胞の遺伝子を破壊しやすい性質があります。

なので腫瘍に対して放射線を照射すると、正常細胞も死ぬのですがそれよりも多く腫瘍細胞が死ぬので、腫瘍の治療に使えるということです。

動物に対する放射線治療の問題点としては2つの問題があります。

まず一つ目は麻酔のリスクの問題です。

人と違って動物はじっとしてくれないので、放射線治療の際は毎回麻酔をかける必要があります。

二つ目はそもそも放射線治療を行える施設が少ない点です。

医療と違って獣医療では全員が保険に入っているわけではないため、治療費が高額になりがちです。

なので、何回も麻酔をかける放射線治療は治療費が高額になりやすく、金銭的に実施できない場合も多いです。

よって実施できる機会が少ない分、多くの病院は放射線治療を行うための設備を導入しません。

したがって現実的には一部の病院でしか放射線治療は実施できません。

たま
たま

近くに放射線照射装置を持っている動物病院がある方は、非常にラッキーです。

化学療法

放射線治療と違ってある意味どこでもできるのが化学療法です。

化学療法とは簡単に言えば薬による治療です。

いわゆる抗がん剤治療ですね。

抗がん剤は副作用が問題として話題になりがちですが、もっと大きな問題があります。

それは、固形がんには効きにくいという点です。

確かに抗がん剤はリンパ腫や白血病といった血液の腫瘍のような形のないものには良く効きます(ものによっては完治します)。

ですが、目で見てわかるような大きさの腫瘍(固形がん)に対して効果が出る確率は20~30%と言われています。

その理由は、抗がん剤は盛んに分裂している細胞に対して効果を発揮するため、すでにある程度大きくなり分裂の速度が落ち着いてきているような腫瘍には効きにくいからです。

なので固形がんに対する化学療法は、手術や放射線治療と組み合わせて行います。

たま
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抗がん剤は様々な種類を組み合わせることで、色々な角度から腫瘍を攻撃します。

犬と猫で多い腫瘍

最後に犬と猫で多い腫瘍を紹介します。

詳しくは各腫瘍ごとに解説記事を作りますね。

  • 乳腺腫瘍(雌犬では1番、雌猫では3番目に多い腫瘍)
  • 肥満細胞腫(犬の皮膚腫瘍で多い、基本的に悪性)
  • 脂肪腫(犬の皮下に多い腫瘍、良性)
  • 扁平上皮癌(犬猫の口の中に多い、悪性の中でも特に悪い)
  • リンパ腫(犬では多中心型が多い、猫では特に多い)

犬と猫の腫瘍

長くなりましたがいかがだったでしょうか。

医学でもそうですが獣医学でも腫瘍を理解することは非常に難しいです。

自分も学生時代に全く分からず、今でも完璧には程遠い理解度です。

それでも、自分の家の犬猫が腫瘍になってしまうと、腫瘍について知りたくなると思います。

今回書いた記事がそういった人のお役に立てると幸いです。

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